【導入事例・富士通株式会社様】「Borderless Office」で業務の目的に合わせて自由に選択できるワーク環境を実現
H¹Tを利用する企業さまに、導入に至った背景や使い心地について聞いていきます。今回は、2020年7月に新しい働き方「Work Life Shift」をリリースし、働き方改革のトップランナーとして注目される富士通株式会社総務・人事本部総務部の阿部賢司さん、久保香奈さん、大野遥子さんにお話を伺いました。
環境整備と制度づくりの両輪で、全社員のテレワークを実現
働き方改革に取り組み始めた背景を教えてください。
阿部:働き方改革が本格的に動き出す以前は、決まったオフィスの決まった席でワークすることが当たり前で、雨の日も風の日も、電車が遅れてホームで長時間待たされることがあっても、とにかく頑張って出勤していましたね。それ自体が業務の一環で、そのことに何の疑念もなかったですね。(笑)
久保:以前ですと、インフラ環境がまだ整っていなかったということもあり、営業担当者はお客様のところへ伺った後も、必ずオフィスへ戻るという働き方が主流でした。
しかし2017年から富士通は、全社員3万5,000人を対象に自宅やサテライトオフィス、出張先などでフレキシブルに勤務ができる「テレワーク勤務制度」を正式に導入しました。社会の風潮が一人ひとりに合った働き方を推進するものへと変わってきていたので、私たちも時代に適した働き方をしようと。
テレワーク勤務制度導入後、ほかにどんな改革を行ったのでしょうか?
久保:従業員の出張数を分析し、出張が多い富士通主要事業所内のサテライト展開と、お客様先近くにあるH¹Tさんのようなシェアードオフィスと契約を結び、環境を整備することから始めました。これまで自席がある事業所にわざわざ戻って業務を行っていたのを、出張先の最寄りサテライトオフィスでも業務ができるように整備したんです。
大野:それと同時に、インフラ整備も行いました。社員のパソコンをFat端末からシンクライアント端末に変え、持ち運びできるようにしたり、勤怠をweb上で管理できる打刻システム導入をしたりと徐々にIT環境も整えていきました。
阿部:働き方改革には「制度・ルール」「ICT・ファシリティ」「意識改革」の3つの要素が必要不可欠であると考えています。社員の声に耳を傾け、各部門と連携して進めてきました。
阿部:あと、2019年当時は「東京オリンピック・パラリンピック」に向けた動きもありましたね。
久保:はい、開催期間中は首都圏オフィスへの出勤を極力減らすことで東京オリンピック・パラリンピックに貢献しようと決めていました。そのためには、オフィスに来なくても仕事ができる環境を整備していく必要があり、一気に環境整備が進んだように思います。
新型コロナウイルス感染症拡大による働き方の変化と「Work Life Shift」
新型コロナウイルス感染症の急拡大で働き方が大きく変化しましたが、富士通ではどのような動きがありましたか?
阿部:2020年4月の緊急事態宣言発令で、在宅勤務をベースとした働き方に切り替わり、多少の戸惑いはあったものの、思っていたよりは大きな混乱なく新しい働き方にシフトできたのではないかと思っています。もちろん、当初はさまざまな課題検討や調整を急ピッチで進める必要があり大変ではありましたが、テレワークの制度や環境など下地となるものがあったからこそ、これだけの規模での変革がスピーディに実現できたのかと思っています。
久保:2020年7月にリリースした「Work Life Shift」も、これまで進めてきたことや準備してきたことが、このタイミングで一気に花開いたという印象を持っています。
大野:リモートワークが主流になる中で、急いで進めたのが「ペーパレス&ハンコレス」。紙にハンコを押すための出社が社会的に問題視される中、私たちも同様の課題を抱えており、なくせるものはなくす、なくせないものは電子署名やワークフローに切り替える取り組みを展開しました。
久保:最近では私たちの職場の個人ロッカーもなくなりましたよね。もらった紙資料を保管する場所もないので、できるだけ電子データでやり取りするようになりました。自席という概念もなくなって、今は来客対応やface to faceで話す必要があるときのみオフィスに行く感じですね。
新しく打ち出された働き方の指標「Work Life Shift」。簡単に内容を教えてください。
久保:Work Life Shiftとは、「Smart Working」「Borderless Office」「Culture Change」の3本柱で構成されています。
大野:「Smart Working」のとりくみでは、社員それぞれの業務内容や目的、ライフスタイルに合わせた働き方を自律的に選択できるよう制度や環境の見直しを行っています。具体的には、全社員に対してコアタイムのないフレックス勤務を導入したり、通勤という概念をなくすために通勤定期券を廃止したり、単身赴任の解消を推進したり。また、テレワークの環境整備としての補助金を毎月5千円支給し、在宅勤務の支援も行いました。
久保:単身赴任の解消が進んだのは最近ですよね。私の職場でも、汐留に赴任していた方が、実家のある大阪に戻ってリモートで働くと挨拶に来てくれたことがありました。社員からも好評のようです。
阿部:次に「Culture Change」ですね。社員が自律性と信頼に基づいて働けるように、また、離れた場所で仕事をしてもチームとしての成果や生産性が最大化されるように、制度や環境を見直しています。従来の固定観念に縛られない、柔軟な働き方を推奨する文化にシフトしようとしています。
久保:最後に「Borderless Office」。オフィスに対する固定観念を取り払い、一人ひとりが業務内容に合わせて適切な場所を自由に選べるようにするものです。これは私たち総務部門が深く関わっていますね。Work Life Shiftでは社員の自律性を尊重し、信頼するということが、すべての施策の前提となっています。
総務部門が特に力を入れている「Borderless Office」について、具体的に教えていただけますか?
久保:Borderless Officeは、コラボレートを目的した「Hub Office」、人と人とを繋ぐ役割を持つ「Satellite Office」、集中して作業をする「Home&Shared Office」の3つのワーク環境で構成されます。以前と異なり、自宅やH¹Tのような 外部のシェアードオフィスも、主要なワークプレイスの一つと位置付け、社員は業務に応じてどこでも自由に選択して働くことができます。また、富士通事業所に構築するHub Office、Satellite Officeは、コラボレーションやイノベーションの創出を目的とした快適で創造性のある環境を整備するとともに、多拠点との一体感を提供できる環境を構築できるよう検討していきます。この取材を受けているF3rdX(エフサードクロス)もその目的の一つですね。
阿部:リモートワークが当たり前になっても、やはり対面でこそ生まれるものもあると感じていて、そんな時に集まれる場所は今後も必要。改めて、オフィスだからこそできることは何か、どんなオフィスであるべきなのかを、日々考えながら変革に取り組んでいます。
H¹Tの魅力は、利用者に寄り添った空間づくり
なぜH¹Tをお選びいただいたのでしょうか?
大野:もともと社外のシェアードオフィスは2017年から導入していたのですが、業務上必要とする方のみ利用登録するようにしていたんです。しかしWork Life Shiftの発表後、全社員にあたる約35,000名が使えるよう運用を変更し、もっと柔軟に利用できるよう、とにかくシェアードオフィスの数を増やす必要があると考えました。そんな時に、野村不動産のH¹Tが30店舗ほど展開しているのを知り、一気に場所の選択肢を広げられるのではと思ったんです。
あとは、他社に比べてコストパフォーマンスが良いという点も後押しになりましたね。
どのような目的でご利用いただくことが多いですか?
大野:私は先輩とアイディア出しやディスカッションをしたいときによく利用しています。2人の自宅の中間地点で集まることができるので、汐留本社に出社するよりも、アクセスのいい場所で仕事することができ、通勤時間の短縮にもなっています。
久保:よく会議室に2人でこもっていますね(笑)。最近はブース席でWeb会議をすることも増えました。コロナ禍でWeb会議が増えたので、ブース席で作業も通話も可能なのは非常に便利です。
H¹Tを導入して社員の皆さまからの反響はいかがですか?
久保:交通系ICカードで入退室できるのは評判がいいです。よくある二次元バーコードでのロック解除は、入退室の度にIDやパスワードを入力してログインするのが手間なんですが、H¹TはICカードをかざすだけでスムーズに入退できるので便利ですね。
あと、新型コロナウイルスの感染予防のために、アルコール消毒やウエットティッシュが各席に常備されているのも安心ですよね。細かいところに気が配られているなと感じます。
阿部:利用者の利便性に配慮し、ストレスの無い環境が用意されていることがH¹Tの魅力だと感じています。
社員それぞれに合った働き方ができる環境や制度をつくり続けたい
今後、取り組みたいことはありますか?
阿部:まずは「Borderless Office」の展開をハード面、ソフト面の両方していくことですね。変化の激しい時代なので世の中の流れを見極めながら、柔軟に対応していく必要があると感じています。
久保:私は、コミュニケーションの場としてのシェアードオフィス活用を社内で提案していきたいと考えています。例えば、1on1は自社オフィスでやるものと考えている方もいるのかなと思います。もちろん問題ないのですが、シェアードオフィスのように普段と違う空間だからこそ、相手の本音を聞き出せたり前向きな気持ちで話ができたりとメリットがあることも知っていただきたいなと。
大野:今も、イントラサイト内でシェアードオフィス活用の推奨パターンを掲載していますが、さらに広報活動に力を入れていきたいですね。社員の働き方の選択肢が広がるようにさまざまな施策を練っていきたいです。
久保:あとは、サテライトオフィス・シェアードオフィス検索アプリの開発があります。きっかけは、社員からの「どこに利用できるオフィスがあるのか分からない」という声。スマートフォンで簡単にオフィス検索ができる地図アプリを開発することになりました。
阿部:GPSと連携し現在地周辺のオフィスを検索できたり、空き状況の表示や予約機能などを持たせたりする予定です。ユーザー目線で、利便性や簡易性に重点をおいて進化させていきたいので、H¹Tと引き続き連携できればと思います。今後も、社員が柔軟な働き方ができる環境を提供し続けます。