データで読み解く いま選ぶべきシェアオフィス2024

複数の企業や個人がシェアして使うシェアオフィスが拠点数を増やしている。新型コロナウイルス禍は落ち着いたが「外出途中に利用したい」「移動する合間のスキマ時間を使い効率的に働きたい」等のニーズは根強い。一方では出社回帰も進み、シェアオフィスはより「選ばれる」段階へ進んだ。データをもとに、今求められているシェアオフィスを紐解く。

様々な利用シーンに
対応できるシェアオフィス

コロナ禍を機会に「感染症対策」として急増したテレワークは、今や「多様な働き方」のひとつとして定着した。テレワークとは、情報通信技術の活用で実現する時間や場所にとらわれない働き方のこと。自宅で働く在宅勤務のほか、本拠地以外の施設で働くサテライトオフィス勤務などがある。国土交通省によると、雇用型就業者のうちこれまでテレワークをしたことがある人(雇用型テレワーカー)の割合は、2022年から5年にかけて首都圏で1.9ポイント減少したが、2020年度以降は3割超を維持している。

また、コロナ禍以降の直近1年間のテレワーク実施率は、どの地域でも減少しているものの、全国平均を見ればコロナ禍以前より高い水準にある。

テレワーカーの割合は、2019年以前のコロナ禍前より高く、20年以降3割超え水準を維持

テレワーカーの割合の推移グラフ

近年のテレワーク実施率は、コロナ禍以前と比較して高い水準を維持

直近1年間のテレワーク実施率
出典:国土交通省「令和5年度テレワーク人口実態調査 調査結果(概要)」(2024年3月)を元に作成

固定されたオフィスに縛られることなく働く場所を柔軟に選びたいという需要は、コロナ禍収束後も依然として大きい。

雇用する側の企業も、働く環境の整備を急いでいる。経済産業省が主導する人的資本経営コンソーシアム事務局による会員法人への調査結果によると、時間や場所にとらわれずに働くことができるよう「多様な働き方の環境整備」を進めている企業は80%以上にのぼった。

人的資本経営の対応策を実行している企業の88.1%が時間や場所にとらわれない働き方の環境整備を進めている

Q:事業継続(BCP)や、多様な個人が活躍できる環境を整備する観点から、時間や場所にとらわれずに働くことができる制度・仕組みを整えていますか?

時間や場所にとらわれない働き方の環境整備を進めている企業の割合のグラフ
出典:人的資本経営コンソーシアム事務局「人的資本経営に関する調査結果(詳細)」より作成

また厚生労働省は、3歳に満たない子を養育する労働者がテレワークを選択できる措置を講じることを、2025年4月1日から段階的に施行、事業主の努力義務となることが決まっている。

企業にはあらためて従業員一人ひとりが働きやすい環境を整えることが求められている。シェアオフィスの活用は有力な選択肢のひとつだ。シェアオフィスとは複数の企業や個人がシェアして使うオフィスを指す。例えば、野村不動産のシェアオフィス H¹T(エイチワンティー)は初期費用・基本料不要、「15分110円~(税込価格121円)」で使える多拠点型シェアオフィスだ。完全予約制で「満席で座れない」心配はない。需要の高まりに応じて同エリアであっても追加出店し、十分な席数を確保しているという。

「営業先周辺での立ち寄り利用」
ニーズに豊富な拠点数で応える

働き方が多様化した昨今、シェアオフィスにも様々な利用シーンへの対応が想定される。外出先での利用や、自宅にかわるリモートワーク環境としての利用、出張先でのワークスペースとしての利用、鉄道運休や荒天時の緊急利用などが代表的だ。雇用側も、従業員のロイヤリティー向上や生産性向上に寄与する多拠点型シェアオフィスに大きな期待を寄せている。シェアオフィスに望まれるのはいずれの利用シーンにおいても質の高いサービスを提供できる環境であり、そうしたニーズに応えるシェアオフィスが支持を集めるのは必然だ。

関東のH¹T拠点例

H¹Tはその好例といえる。サービス名は「ヒューマンファースト」に由来し、働く人の時間を一番に考える野村不動産の精神を体現するもの。2019年10月のサービス開始以来、会員数・企業数を順調に増やしているが、注目すべきは新型コロナが5類に移行して以降も増加傾向が変わらないことだ。現在の会員数は約50万人。登録企業数6400社はサテライトオフィス業界においてトップクラスだ。都内のみならず郊外や地方にも拠点を増やしており、300以上の店舗で全国47都道府県をカバーする。ユーザーアンケートで「営業先周辺での立ち寄り」が利用シーンのトップに挙がるのも、この多拠点故だ。

H¹Tのここがいい H¹Tのここがいい
Case 01

営業活動の味方

アステラス製薬 男性 営業部門

「シェアオフィスの展開が少ないエリアでも拡充を進めているH¹Tのオフィスは、機動性の高い営業活動の実現に有効活用でき、大変助かっています。」

出社回帰する企業も増える中で、
H¹Tの会員企業は増加傾向にある

H¹T会員数・企業数の推移

シェアオフィス(H¹T)は出先での立ち寄り利用 上位を占めるが、多様化している傾向だ

H¹T会員数・企業数の推移
出典:野村不動産調べ

「在宅勤務の代替環境としての利用」も多い。在宅でのテレワークは手軽だが、生産性・効率性を追求できる環境とは言い難いケースもある。ネット接続が不安定で「音声が途切れる」などWEB会議に支障が出ることも。その点H¹Tは、1人で集中して仕事に打ち込める個室をはじめ、開放的なオープンスペースや、休息用のフリーラウンジなど多彩な執務空間とともに無料Wi-Fiを完備。なかには「オフィスでのWEB会議は周囲の雑音や混線が気になる」ことを理由に、普段はオフィスに勤務しながらWEB会議時にのみH¹Tを利用するユーザーも少なくないという。また住居地に近いサテライトオフィスで働くことで通勤時間を削減すれば、育児・介護との両立もしやすくなる。

H¹Tのここがいい H¹Tのここがいい
Case 02

多様な勤務形態に

丸井グループ 女性 営業

「夫婦共働きで子供もいるため自宅だと集中できないが、シェアオフィスの利用でパフォーマンスの向上につながっています。
また、通勤時間を家事育児に充てられたことで、家族の関係性も良くなったように感じます。」

セキュリティー面の配慮も万全だ。自宅以外でのテレワーク環境といえば、カフェなどの飲食店の利用が一般的だが、MMD研究所によれば「他人のパソコンでの作業が見えた」「話しが聞こえた」という声が多数挙がる。また資料の置き忘れ、紛失のおそれも免れない。MAMORIOの調べでは2人に1人がリモートワーク中の置き忘れ・紛失を経験し、そのうち会社に報告したのはわずか13%だという。企業にとり機密情報管理の点で大きな懸念材料だ。

カフェや交通機関での仕事はセキュリティー的に危うい面が露呈

他の人の業務作業が見えたり、話しが聞こえてしまったことがあるもの
出典:MMD研究所調べ「テレワークにおけるデジタル端末の利用に関する調査」より作成

2人に1人がリモートワーク中の置き忘れ・紛失を経験、会社に報告したのはわずか13%

リモートワーク中の置き忘れ・紛失経験などの割合
出典:MAMORIO株式会社調べ「リモートワーク中の置き忘れ・紛失の実態調査まとめ」より作成

シェアオフィスの導入はこうした情報漏えいのリスクを低減する。H¹Tは遮音性の高い完全個室の「ルーム」席などを用意。入退室は予約時間の5分前に付与されるスマートキーで行い、防犯カメラも設置している。一方では、自然素材と植栽を豊富に取り入れ、ドリンクコーナーを備えるなど、カフェ同様の「一息つける」空間デザインを実現した。

スタートアップなど、オフィスを持たない企業がシェアオフィスを利用する例もある。取引先との打ち合わせ等リアルなスペースが急きょ必要になった場合などに、予約の簡単なシェアオフィスが頼りになるからだ。H¹Tの会議室は広さに応じて使い分けられ、会員外のゲストの招待も可能だ。

  • スマホで入退室管理を行う

    予約した自身のスマホ画面に表示されるスマートロックで入退出。利便性とセキュリティーを兼ね備え入退室管理を行う。

  • 個室タイプの一例

    店舗によって異なるが、様々なタイプの部屋がある。写真は個室タイプで、1人には十分な空間が確保され仕事もはかどる。

  • ドリンクやお菓子

    文具やコピー機など便利なアイテムや、ほっと一息つけるドリンクやお菓子も用意されているのも嬉しい(店舗により内容は異なる)。

H¹Tのここがいい H¹Tのここがいい
Case 03

スキマ時間での利用や
出張時に

TXP Medical 男性 役員

「事業規模が拡大する中で、オフィス拡張をしなくとも従量課金で気軽にオフィスが利用できるのはありがたい。
その他アポとアポのスキマ時間での利用や出張時にも従業員に活用してもらっています。」

なお、管理者専用サイトではエクセルによりユーザーを一括登録できる。リアルタイムで自社の従業員による予約状況や利用実績を確認でき、「使いすぎ」の心配があれば、ユーザーごとに毎月の利用上限額を設定できるとあって、管理者目線での使い勝手もいい。自社近くの拠点の利用を制限する機能もある。

人的資本経営を重んじる企業のニーズ、そしてビジネスパーソンの利用シーンを見据えるならば、「H¹T」はいま選ぶべきシェアオフィスの条件を満たしている。